ブルゴーニュは、赤も白も基本は1品種ずつしか使わない。それでも値段が10倍以上に開くのは、畑に4段階の格が付いているから。ラベルのどこを見れば階層が分かるかを1枚にした。

結論 — 知りたいことから読む
| 知りたいこと | 答え | そう言える理由 |
|---|---|---|
| ブルゴーニュは何を覚えれば足りるか | 色(赤か白か)と、畑の4階層だけ | 品種は色でほぼ決まり、値段は階層でほぼ決まる |
| 赤の品種は | ピノ・ノワール。ほぼこれ1種 | 例外はガメイ(ボジョレー)とパストゥグラン |
| 白の品種は | シャルドネ。ほぼこれ1種 | 例外はアリゴテ |
| 4階層とは | 地方名 → 村名 → 1級 → 特級 | ラベルに書かれる名前が、狭い範囲を指すほど上の階層 |
| 特級はどのくらい希少か | 生産量のおよそ1% | 84あるAOCのうち33が特級だが、面積が極端に小さい |
| ボルドーとの違いは | 格が付く対象が違う。ボルドーはシャトー(造り手)、ブルゴーニュは畑(土地) | 詳細は次回 |
| 迷ったら | 村名クラスから入る。 地方名は入門、1級以上は価格が跳ねる | 村名が生産量のおよそ4割で、選択肢が最も多い |
上の表で足りるなら、以下は読まなくてよい。
図の見方 — 品種が変わらないので、畑を軸にした
- 横軸=畑の階層:地方名(ブルゴーニュ)→ 村名(ジュヴレ)→ 1級 → 特級(シャンベルタン)。右へ行くほど範囲が狭く、生産量も少ない
- 縦軸=色:赤はピノ・ノワール、白はシャルドネ。 ブルゴーニュではここが1対1で対応する
- ボルドー編と軸が1つ違う:ボルドー編は「地名の階層 × 左岸/右岸」だった。ブルゴーニュは品種が1種ずつなので、品種の軸が立たない。 代わりに色を置いた
- 赤も白も、同じ村を上まで登る形にした:赤はジュヴレ・シャンベルタン、白はピュリニー・モンラッシェ。村をまたぐと「ある村の上が別の村」と誤読される
- 点の位置は当サイトの整理:面積の実測ではなく、ラベルに書かれる階層で置いている
横に動くと値段が変わり、縦に動くと品種が変わる。 これが図の主張だ。
赤 — ピノ・ノワール1種で、村ごとに表情が変わる
一言で:色は淡いが香りが複雑で、熟成で伸びるタイプ。
- 該当する地区:コート・ド・ニュイが中心。コート・ド・ボーヌにも赤の名産地がある
- 主な村名:ジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニー、ニュイ・サン・ジョルジュ
- 特級の代表:シャンベルタン、ミュジニー、ロマネ・コンティ
- ラベルの読み方:村名だけなら村名クラス。 村名の後ろに「1er Cru」と畑名が付けば1級
- 見るときの注意:特級は村名を名乗らない。 畑の名前だけが単独で書かれる
- 「シャンベルタン」はジュヴレ・シャンベルタン村にあるが、ラベルに村名は出ない
白 — シャルドネ1種で、樽の効かせ方が分かれる
一言で:果実味と酸に加えて、樽由来の香ばしさが乗るタイプ。
- 該当する地区:コート・ド・ボーヌが中心。北のシャブリ、南のマコネも白の産地
- 主な村名:ムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェ、シャブリ
- 特級の代表:モンラッシェ、コルトン・シャルルマーニュ、シュヴァリエ・モンラッシェ
- ラベルの読み方:村名だけなら村名クラス。 村名の後ろに「1er Cru」と畑名が付けば1級
- 見るときの注意:有名な村に特級が無いことがある。 ムルソーは1級までしか無い
- 名前の知名度と階層は一致しない。ラベルの表記で判断する
4つの階層は、数がまるで違う
ブルゴーニュのAOCは84。ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)の公式サイトで確認した数字で、 うち33が特級、44が村名、7が地方名。フランスのAOC全体の2割強がこの地方に集中している。
| 階層 | ラベルに書かれる名前 | AOCの数 | 生産量の目安 |
|---|---|---|---|
| 地方名 | ブルゴーニュ、ブルゴーニュ・アリゴテなど | 7 | およそ5割 |
| 村名 | ジュヴレ・シャンベルタン、ムルソーなど | 44 | およそ4割 |
| 1級 | 村名 + 1er Cru + 畑名 | 村名AOCの中の区分 | およそ1割 |
| 特級 | シャンベルタン、モンラッシェなど畑名のみ | 33 | およそ1% |
- 生産量の比率は概数で、年により動く。それでも桁の関係は変わらない
- 特級は33もあるのに、量は1%しかない。 名前の数と量が対応していないのがこの地方の特徴
- 値段が跳ねるのは1級から上。 地方名と村名で全体の9割を占めており、普段飲む範囲はここ
- 1級は「村名の中の格付け畑」で、独立したAOCではない。特級だけが単独のAOCになる
図に入らなかったもの
4つの階層に収まらなかったが、売り場でよく見るものを補っておく。
| 名前 | 位置 | 扱い | 備考 |
|---|---|---|---|
| シャブリ | 最北 | 白の村名AOC | 特級は1つのAOCの中に7つの区画。他の地方と数え方が違う |
| ボジョレー | 最南 | 別のAOC体系 | 行政区分では隣接するが、品種はガメイで階層も別 |
| コート・シャロネーズ | 中部 | 村名AOCあり | ジヴリ、メルキュレなど。特級は無い |
| マコネ | 南部 | 村名AOCあり | プイィ・フュイッセなど。白が中心で、価格は控えめ |
4つとも、色と階層のどこかに置けば同じように読める。 名前が増えても、覚え方は変わらない。
補足 — なぜ「造り手」ではなく「畑」に格が付いたのか
ブルゴーニュの畑は、隣り合っていても格が違うことがある。道を1本挟んで村名と特級が分かれる場所もある。
- 区画ごとの違いが、長い時間をかけて記録されてきたとされる。修道院が畑を管理していた時代に、 区画ごとの出来の差が蓄積された
- 区画(クリマ)の単位が、そのままAOCの単位になった。 だから畑の名前が階層を持つ
- 造り手は階層に含まれない。 同じ特級畑を複数の造り手が分けて所有しており、 同じ「シャンベルタン」でも造り手ごとに味が違う
ここがボルドーとの決定的な違いになる。 ボルドーの格付けはシャトー(造り手)に付いている。 同じ「格付け」という言葉で、付いている対象が違う。
まとめ — 3ステップで読む
- 色で品種を確定する:赤ならピノ・ノワール、白ならシャルドネ。これでほぼ外れない
- ラベルの名前が何を指しているかを見る:地方名か、村名か、村名+1級か、畑名のみ(特級)か
- 予算は村名クラスから考える:全体の9割が地方名と村名で、選択肢が最も多い
ボルドーの読み方は ボルドーは、左岸か右岸かで品種が変わる に、 フランス全体での位置は フランスワインは、産地名で品種が決まる に、 世界のなかでの位置は 世界のワイン産地は、2つの軸で並ぶ にまとめている。 これで産地シリーズは4本そろった。
次回は、ボルドーとブルゴーニュを並べる。同じ「格付け」という言葉が、片方では造り手に、もう片方では土地に付いている。


