動画配信の比較でいちばん目立つのは「見放題◯万本」という数字だ。だがその中に、あなたが見たい作品が入っているかは何も語っていない。2025年に日本で最も客を集めた映画20本を、5つのサービスで実際に探してみた。

結論 — 知りたいことから読む
| 知りたいこと | 答え | そう言える理由 |
|---|---|---|
| 何を測ったのか | 2025年に日本で最も稼いだ映画20本のうち、追加料金なしで何本見られるか | 人気の定義を「観客が実際に払った額」に置いた。出所は日本映画製作者連盟の興行収入ランキング |
| 最も多く持っているのは | Amazonプライム・ビデオ(20本中7本) | 2位Disney+(3本)に倍以上の差 |
| 「見放題42万本」のU-NEXTは | 0本。 8本を扱っているが、すべて有料レンタル | 42万本という数字に、2025年の話題作は入っていない |
| Huluは | 0本。 20本とも扱いが無い | 新作映画はHuluの主戦場ではない |
| 見られる1本あたりが最も安いのは | Amazon(29円) | 1人あたり200円 ÷ 7本。Disney+は139円、Netflixは286円 |
| そもそも20本は見られるのか | 見放題で見られるのは11本だけ。3本はまだどこにも配信されていない | 残りはレンタルのみか、5社の外 |
| Disney+の3本は少ないのか | 少なくない。ディズニー配給の4本のうち3本を持っている | 自社作品以外は1本も無いが、自社作品はほぼ確実にある |
上の表で足りるなら、以下は読まなくてよい。 以下は、この数字がどう出たかの説明。
図の見方 — 数え方を先に決めた
- 人気の定義=2025年の興行収入:日本映画製作者連盟が公表している「興行収入10億円以上番組」の邦画・洋画トップ10ずつ、計20本。誰かの主観ランキングではなく、観客が払った額
- 縦軸=見放題で見られた本数:月額料金だけで見られるものを数えた。追加料金のかかるレンタル・購入は含めない
- 横軸=1人あたり月額:月額 ÷ 同時視聴の最大人数。前回の記事で使った物差しをそのまま持ち込んでいる
- 対象は5サービス:Amazonプライム・ビデオ、Hulu、Disney+、U-NEXT、Netflix。横断で配信状況を調べられるのがこの5社だけだったため
- DMM TV・ABEMA・Lemino・dアニメストアは対象外:横断検索サービスに単体で収録されておらず、同じ数え方で数えられなかった。推測で埋めるくらいなら載せない
- 時点は2026年8月:配信ラインナップは動く。同じ調査を半年後にやれば数字は変わる
安さと、見たいものがあるかは別。これが図の主張だ。横軸で左にある(安い)Huluが、縦軸では0本のところにいる。
調べた20本と、どこで見られるか
「未配信」は、どのサービスにも見放題でもレンタルでも出ていない作品。 3本とも2025年後半公開のアニメ大作で、劇場公開からの期間が短い。
| # | 作品名 | 興収 | 配給 | 見放題で見られるか |
|---|---|---|---|---|
| 邦1 | 劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 | 391.4億 | 東宝/アニプレックス | 未配信 |
| 邦2 | 国宝 | 195.5億 | 東宝 | Amazon |
| 邦3 | 名探偵コナン 隻眼の残像 | 147.4億 | 東宝 | Amazon |
| 邦4 | 劇場版『チェンソーマン レゼ篇』 | 104.3億 | 東宝 | 未配信 |
| 邦5 | はたらく細胞 | 63.6億 | WB | 5社に無し |
| 邦6 | 劇場版『TOKYO MER 南海ミッション』 | 52.9億 | 東宝 | Amazon |
| 邦7 | 8番出口 | 51.7億 | 東宝 | レンタルのみ(U-NEXT) |
| 邦8 | 映画ドラえもん のび太の絵世界物語 | 46.1億 | 東宝 | Netflix |
| 邦9 | 映画「グランメゾン・パリ」 | 42.0億 | 東宝/SPE | Amazon |
| 邦10 | 機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning- | 36.2億 | 東宝/バンダイナムコ | 未配信 |
| 洋1 | ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング | 52.8億 | 東和ピクチャーズ | Amazon |
| 洋2 | モアナと伝説の海2 | 51.7億 | WDS | Disney+ |
| 洋3 | ジュラシック・ワールド/復活の大地 | 49.0億 | 東宝東和 | Amazon |
| 洋4 | マインクラフト/ザ・ムービー | 39.4億 | WB | 5社に無し |
| 洋5 | ウィキッド ふたりの魔女 | 35.4億 | 東宝東和 | 5社に無し |
| 洋6 | リロ&スティッチ | 33.9億 | WDS | Disney+ |
| 洋7 | ライオン・キング:ムファサ | 22.5億 | WDS | Disney+ |
| 洋8 | F1/エフワン | 21.3億 | WB | 5社に無し |
| 洋9 | 教皇選挙 | 11.5億 | キノフィルムズ | Amazon/Netflix |
| 洋10 | キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド | 11.4億 | WDS | 5社に無し |
配給会社の列を見ると、傾向がひとつ見える。 ディズニー配給(WDS)の4本のうち3本はDisney+にあり、Disney+にあるのはこの3本だけ。一方でワーナー配給(WB)の3本は、5社のどこにも見放題では出ていない。
買い集める型 — 配給を問わず、広く持つ
一言で:特定の映画会社に紐づかず、邦画も洋画も横断して抱えているサービス。
- 該当するサービス:Amazonプライム・ビデオ
- 見放題で見られた本数:20本中7本(邦画4・洋画3)
- 見られる1本あたりの月額:29円(1人あたり200円 ÷ 7本)
- この形になる理由:自社が映画を作っていないぶん、どの配給会社とも組める立場にある
- 見るときの注意:7本でも「3本に1本強」でしかない
- 20本のうち13本はAmazonにも無い。1つのサービスで全部見ようとする前提が、そもそも成り立たない
自社作品型 — 数は少ないが、自社の作品は確実にある
一言で:親会社が権利を持つ作品に強く、それ以外はほとんど持たないサービス。
- 該当するサービス:Disney+、Netflix
- 見放題で見られた本数:Disney+が3本、Netflixが2本
- 見られる1本あたりの月額:Disney+が139円、Netflixが286円
- この形になる理由:自社で作った作品を他社に出さず、自社の配信に集める構造になっている
- 見るときの注意:本数ではなく「何を見たいか」で判断が変わる
- ディズニー・ピクサー・マーベル作品が目当てなら、3本という数字は少なさではなく確実さを意味する
持たない型 — 見放題では、1本も無い
一言で:20本に対して見放題での提供が0本のサービス。ただし理由は2つに分かれる。
- 該当するサービス:U-NEXT、Hulu
- 見放題で見られた本数:どちらも0本(U-NEXTは8本を有料レンタルで扱う)
- 見られる1本あたりの月額:算出できない(分母が0本)
- この形になる理由:U-NEXTは新作をレンタルで売る設計で、Huluはそもそも新作映画を主戦場にしていない
- 見るときの注意:「見放題◯万本」と「見たい新作があるか」は別の話
- U-NEXTの月額には毎月1,200円分のポイントが付く。レンタル前提で使えば実質的な負担は下がるが、それは見放題の本数とは別の仕組み

補足 — 「持っていない」には2種類ある
上の図で、U-NEXTとHuluは同じ0本だが、中身はまったく違う。
- U-NEXT:20本のうち8本を扱っている。ただし399〜3,080円の有料レンタルで、月額の中には入っていない
- Hulu:20本とも扱いが無い。レンタルの提供もない
この差は「見放題◯万本」という数字では絶対に見えない。 同じ0本でも、U-NEXTなら追加料金を払えば今日見られ、Huluでは払っても見られない。
もう一点、20本のうち3本はどこにも配信されていない。2025年後半に公開されたアニメ作品で、劇場公開から配信までには数か月から1年以上かかる。話題作を配信で追いかける限り、必ずこの待ち時間がある。
20本中7本を持っていた Amazon
サービス別のカバー率で1位だったのが Amazon プライム・ビデオ(20本中7本)。本数の多さではなく、話題作を実際に持っているかで見た結果。
まとめ — 3ステップで選ぶ
- 見たい作品を3本、先に挙げる:サービスを選んでから作品を探すと、必ず「無い」に当たる
- その3本がどこにあるかを調べる:横断検索サービスを使えば、1作品につき10秒で分かる
- 見つからなければ、レンタルと待ち時間を比べる:U-NEXTのようにレンタルで今日見られるか、配信を待つか
料金の側から選びたい場合は、動画配信の安さは、何人で使うかで順位が変わる に9社13プランを並べている。安さと、見たいものがあるか。この2つは別々に測ったほうがいい。
なお本記事の調査は2026年8月時点で、対象は映画のみ。海外ドラマやアニメを主に見るなら、順位は変わる。 HuluやU-NEXTの強みは、この20本の外側にある。


